医療情報倫理
- 医療業界に関わるエンジニアへの一歩目
- 個人情報とプライバシー
- 医療情報システムの利用者の責任
- 医療情報システムの担当者の責務
- 医療の情報化と患者の医療参画
- 医学・保健医療の研究倫理とポピュレーション・ヘルス
- 医療情報倫理
- 医療情報担当職の倫理網領
- 医療情報化の担い手として
医療業界に関わるエンジニアへの一歩目
医療業界に関わるお仕事をするエンジニアとして「医療情報技師」という資格の「医療情報システム」という分野を勉強してみます。
まずは、情報を取り扱うものとしての基本となる医療情報倫理です。
個人情報とプライバシー
医療の世界では、氏名や住所だけではなく生体情報という他人が容易には知り得ないような情報を取り扱います。
そんな医療の世界で働く人に向けて、厚生労働省からは医療・介護関係事業者における個人情報の適切な取扱いのためのガイダンスが出ています。
医療の世界に関わる人と言ってもお医者さんから介護士・研究者といろんな立場があるので、ガイダンスには以下のようなことが記載されています。
- 医療・介護関係事業者が行う措置の透明性の確保と対外的明確化
- 責任体制の明確化と患者・利用者窓口の設置等
- 遺族への診療情報の提供の取扱い
- 個人情報が研究に活用される場合の取扱い
- 遺伝情報を診療に活用する場合の取扱い
“医療情報システム向け「Amazon Web Services」利用リファレンス”の公開:APN パートナー各社 | Amazon Web Services ブログ
「個人情報」と「プライバシー」のびみょーーーな違い
「個人情報保護」と「プライバシー保護」は同じ意味に思えます。
しかし、医療情報技師の教科書では「個人情報」と「プライバシー」の違いを説明しています。
「プライバシーに関わる情報」とは、
個人の私生活上の事実に関する情報であり、「本人がその情報を開示しないで欲しいであろうと考えられる情報」である。
これに対し
「個人情報」は、
「特定の個人を識別できる情報」であり、私生活に関する情報か否か、開示しないで欲しいと考えられる情報か否かは問わない。
医療情報第5版医療情報システム編
医療情報システムの利用者の責任
医療に関わるシステムは、限られた人がエルタンできるようなものが多いように思います。
電子カルテや薬剤情報・検査機器を扱うシステムから研究や治験の情報を蓄積するシステムまで、誰でも彼でも閲覧できるものはではありません。
それは、先に紹介した「個人情報」「プライバシー」を取り扱うからです。
不適切な閲覧によるプライバシーの侵害をしないようにします。
システムを閲覧できる権限があるひとには「個人情報」「プライバシー」を守る義務が生じます。
そのために、利用者一人ひとりの意識が重要です。
故意及び重過失をもって、これらの要件に反する行為を行えば刑法上の秘密漏示罪で犯罪として処罰される場合があるが、診療情報等については過失による漏えいや目的外利用
も同様に大きな問題となり得る。
医療情報システムの安全管理に関するガイドライン
プライバシー権利を保証するための情報セキュリティ上の義務があります。
- 自身の認証番号やパスワードを管理し、これを他人に利用させない。
- 電子保存システムの情報の参照や入力に際して、認証番号やパスワードなどによってシステムに自身を認識させる。
- 電子保存システムへの入力に際して、確定操作(入力情報が正しいことを確認する操作)を行って、入力情報に対する責任を明示する。
- 代行入力の場合は、入力権限を持つ者が最終的に確定操作を行い、入力情報に対する責任を明示する。
- 作業終了あるいは離席する際は、必ずログアウト操作を行う。
ちょっとしたセキュリティ意識の弱さから漏洩事件が発生しています。
医療情報システムの担当者の責務
医療システムの責任者・担当者に対する指針として厚生労働省から医療情報システムの安全管理に関するガイドラインが出ています。
医療・介護関係事業者における個人情報の適切な取扱いのためのガイダンスでは、「医療情報システムの導入及びそれに伴う情報の外部保存を行う場合の取扱い」についてはこのガイダンスに従うことが記載されています。
医療の情報化と患者の医療参画
ここ数十年で医療へのコンピュータ導入の目的は、「業務の合理化」>「診療支援」>「患者中心の視点」へと視点の主役が変わってきているそうです。
電子カルテでは、
- 医療者 : 患者へ説明しやすく
- 患者 : カルテへの敷居が低くなる
と、「患者中心の医療」への取り組みにコンピュータ導入が寄与することとなる。
電子カルテを導入するメリット・デメリット | 導入するメリット・デメリット | 電子カルテサービス | SECOM セコム医療システム株式会社
医学・保健医療の研究倫理とポピュレーション・ヘルス
医療システムが導入されていくことで治療へつながる研究や症例の蓄積などへ医療情報の活用が活発になっていきます。